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2013.12.25

なぜ東電・国・専門家たちの「罪」を問うのか
11月16日 佐藤和良氏講演会レポート

 NPO法人「ふくしま支援・人と文化ネットワーク」主催の秋のイベント、
 「今なお続く原発被害~子ども・被災者支援法/原発告訴団とふくしまの現状」が11月16日、「JICA 地球ひろば」市ケ谷で開催されました。
 イベントでは、当NPO理事長・講談師神田香織が新作講談「福島の祈り」のお披露目を行いました。あわせて、私たちが7月に実施した、福島の子どもたちを放射能から遠ざける「天草保養キャンプ」の報告も行いました。

佐藤和良氏、国と自治体による「棄民政策」を批判

講演する佐藤和良氏

 国の「原発事故・子ども被災者支援法基本方針案」の撤回と具体的施策の実現を求める「原発事故子ども・被災者支援法推進自治体議員連盟」や「福島原発訴訟団」で活動する佐藤和良氏(いわき市議会議員)から福島の現状について報告を受けました。
 氏は、「3.11」後の地震・津波・原発事故の被害実態をスライドで説明しながら、まず、「情報を出さなかった」「避難誘導をしなかった」「ヨウ素剤すら使えなかった」「今も事故を直視していない」と、国・東電・行政当局の不作為を指摘しました。
 なかでもSPEEDIの情報隠しによる県民の大量初期被曝や、汚染地域への県民の留置による低線量被曝の強制は重大な問題です。現時点でも、高濃度汚染水は溜りつづけ、海洋に流入しています。事故収拾のために働く原発労働者たちの被曝実態も深刻になっています。
 これまでの半世紀にわたる「原発安全神話」は、いまや「放射能安全論」にすり替えられ、政府と県による低線量被曝地域での居住奨励や、避難指示解除準備区域への帰還奨励政策は、「復興」の名の下に行う、新たな「棄民政策」であると佐藤氏は断じます。

原発告訴の行方は、東京の有権者の力にもかかっている

会場には福島原発告訴団の武藤類子団長も駆けつけた

 佐藤氏らは、独自に市民放射能測定室を開設すると共に、福島原発事故被害者の生きる権利の確立を求めて、「原発事故子ども・被災者支援法」の制定運動を開始、また、原発事故の刑事責任を糺す「福島原発告訴」を行いました。支援法は国会で成立したものの、いまだ十分かつ具体的な施策が実施されるまでには至っていません。
 原発告訴は2013年9月に「全員不起訴」の判断が地検によって下されました。同時に福島地検はこの事件を東京地検に「移送」したため、一般有権者によって開かれる検察審査会への申立てが福島ではなく、東京でしかできない現状です。現在、東京検察審査会第5審査会が、検察の処分が妥当かどうかを審査しています。逆にいえば、今後、検察審査会を動かすのは東京の有権者の力にかかっている、ということです。
 これからの原発告訴団の闘いへの引き続きの支援を訴えて、佐藤氏は講演を終えました。
 ちなみに福島原発告訴団は、12月に第2次告発を福島県警に対して行いました。また、これとは別に、9月には東京電力を汚染水放出事件にかかわる「公害罪」の疑いで告発しています。

「東京でいまやれることは何か」──会場から質問が飛び交う



講演内容の動画・レジュメなど

▶1時間半にわたる氏の講演内容の様子が、YouTubeでご覧いただけます。